Canadian Style 太陽とともに - カナディアン・ソーラーのウェブマガジン

Do Something for Earth

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太陽と社会をつなぐお手伝いを、様々なカタチで。カナディアン・ソーラーが応援します。

日本の農業を守るためにまず一歩、お米作りに参加しています

鳥取県日南町「水田オーナーズクラブ」

過疎化が進む農業地帯、そして高齢化が進む農業に企業が参加することで、新しい可能性を――カナディアン・ソーラーは、農業法人あっぷふぁーむの「水田オーナーズクラブ」に参加。鳥取の農家と共においしいお米作りに取り組んでいます。

貴重な田んぼを守り、そして農村の過疎化を防ぐために

JR伯備線の生山駅から車で約20分。むせるような緑の中、大入峠を越えたその先に、鳥取でも有数の米どころ日南町茶屋地区があります。こんもりとした山々に守られるように、静かに水をたたえた田んぼが広がるその様子は、まさに日本の原風景。標高が高く夏の昼夜の寒暖差が大きい気候と、中国山地の日野川を源流とする栄養豊富で清らかな水、それらが名産品のコシヒカリの生産に最適なのだといいます。
2009年、この日南町で水田オーナーズクラブの活動が始まりました。企業がこの地の水田のシーズンオーナーとなり、地元農家がオーナーに代わって米作りを行うシステムです。オーナーとなった企業は、農業体験を社員研修などに活用できる他、収穫米は各企業のオリジナル米として社員や取引先に配ることもできます。
「山間部の過疎化対策が一つの目的。それから、山にある田んぼを守りたいという思いもあります。高所にある田んぼは、下の地域の大切な水源となっているのです。山で水を引いて田んぼを作り続けていかないと、ふもとの水も枯れてしまうのです」
と説明するのは、水田オーナーズクラブを運営する農業法人『あっぷふぁーむ』代表の高橋隆造さん。かつてご自身の療養のため日南町に移り住み、農業体験を通じてその大切さを実感した経験をもとに、この試みをはじめました。
「最初の参加者は、2軒の農家と4つの会社のみでした。5期目となった2013年は、農家が60軒、企業オーナーは100社。目標は300~400社の参加です。そうなれば日本の農業は守れると思います」

あっぷふぁーむ代表の高橋隆造さん
昔と変わらぬのどかな風景が広がる日南町 
あっぷふぁーむ代表の高橋隆造さん
あっぷふぁーむ代表の高橋隆造さん

春の日差しに温められた田んぼで手植え体験

カナディアン・ソーラーも高橋さんの思いに賛同、2011年から水田オーナーとして米作りに参加しています。地元農家の長谷川仁さんの約22アールの田んぼで、コシヒカリを生産。減農薬で、また海藻や魚のエキスなど伝統的な有機肥料を使用したナチュラルな農法により、毎年33袋(990kg)のおいしい「カナディアン・ソーラー米」が収穫されています。
春には、現地で行われた田植えイベントにも参加。他の水田オーナーとともに水田に入り、昔ながらの手植えを体験してきました。素足で直に感じる田んぼの水と泥は想像以上に温かく、まさに大地と太陽の力にあふれていました。このぬくもりのある土の上で、細い苗がぐんぐん育ちお米になる、そう思うと感慨深いものがあります。
また、生産農家の長谷川さんご夫妻にも直接お会いし、実際にカナディアン・ソーラーの田んぼを前にいろいろなお話を伺うこともできました。重い機械を担いで畔の草刈りをすることなど、体力勝負の日常作業について日に焼けたお顔で語っていただくと、お米作りにどれだけの手間がかかっているかが伝わってきます。改めて、日本の農業を支えている方々に頭が下がる思いでした。

カナディアン・ソーラーの米作りをしてくれる長谷川仁さん、由美子さんご夫妻
カナディアン・ソーラーの米作りをしてくれる長谷川仁さん、由美子さんご夫妻 
おいしいお米になれ、と思いをこめながら1本1本手植え
おいしいお米になれ、と思いをこめながら1本1本手植え  
田植えイベントの後にはライブやBBQ大会も。若い世代と農業をつなぐのも大きなこころみ
田植えイベントの後にはライブやBBQ大会も。若い世代と農業をつなぐのも大きなこころみ
毎年春には田植えイベントが行われ、オーナー企業と地元農家の交流も
毎年春には田植えイベントが行われ、オーナー企業と地元農家の交流も
子供たちも大勢参加。米作りに携わる貴重な体験に
子供たちも大勢参加。米作りに携わる貴重な体験に
深緑の中、田植えを終えたばかりのカナディアン・ソーラー農園
深緑の中、田植えを終えたばかりのカナディアン・ソーラー農園

しっかりと実った黄金色の稲穂に感動!

そして収穫の秋、再び日南町を訪れました。半年前には青々としていた田んぼの苗は豊かな稲となり、一面黄金色の絨毯を敷き詰めたような光景に変わっていました。近づいてみると、ひと粒ひと粒しっかりと実をつけた稲穂が、この重さを見てくれといわんばかりに頭を垂れています。春と同様、オーナー企業が集まり、今度は稲刈り体験の始まりです。機械ではなく、鎌を使ってザクザクと手で刈っていきます。片手で一束をつかみ、根本から一気に切り落とす――腰をかがめたままそんな作業をくりかえします。かなりの重労働に、お米作りの大変さと、お米の貴重さを実感しました。

ずっしりと実り、頭を垂れる稲穂
ずっしりと実り、頭を垂れる稲穂

農家の長谷川さんにも再会。このシーズンも天候がよく、出来栄えは上々とのことです。もちろん、楽にお米ができたというわけではありません。天気がよすぎて、水不足かと思っていたところ、いきなり大雨が降って水路が壊れてしまったり、また8月には山からイノシシが下りてきて、田んぼの中を走りまわって荒らしていったり、と常に目が離せない状態はいつもと同じ。
そして毎年、ひときわ神経を使うのは、よく実った稲を倒伏させずに最後まで維持することだといいます。コシヒカリのようなおいしいお米は、稲穂がずっしりと重くなるため、倒れやすいのです。「肥料が多すぎると実りすぎて倒れてしまう。だから土づくりから始まって、天気など様々な条件を見ながら、そして経験をたよりに肥料の時期や量を判断して適切に与えていく。教科書通りにはいかない、まさにかけひきです」と長谷川さん。30年以上農業をやってきたご夫妻は、こうした米作りのコツを体で覚えてきたといいます。もっともっと自慢していただきたい、大変な名人技ではないでしょうか。
収穫後、新米で作ったおにぎりをいただきました。つやつやと輝き、ひと粒ずつがしっかりとしていて、噛むごとに甘みと粘り気が感じられるお米。炊きたてはもちろんですが、冷めてもモチモチ感がひときわ増し、ついつい食べ過ぎてしまうほどのおいしさでした。
昔から脈々と受け継がれてきた日本の稲作。これは各地の風景や文化をはぐくんできた土壌でもあります。カナダ生まれの企業が、こうして日本のハートともいえる稲作に触れあえる。素晴らしいことだと思います。

カマを使って稲刈り体験
カマを使って稲刈り体験
束ねた稲を運ぶのも重労働
束ねた稲を運ぶのも重労働
稲刈りイベントには日南町の増原聡町長も参加(写真中央)。米作りリーダーの三上惇二氏(左)、アップファームの高橋隆造氏(右)とともに
稲刈りイベントには日南町の増原聡町長も参加(写真中央)。米作りリーダーの三上惇二氏(左)、アップファームの高橋隆造氏(右)とともに
子供たちもはじめての稲刈りに大興奮
子供たちもはじめての稲刈りに大興奮
イベントでは、稲でHOPEの文字も
イベントでは、稲でHOPEの文字も
もっちりとして甘みがあり、冷めてもおいしいコシヒカリが完成!
もっちりとして甘みがあり、冷めてもおいしいコシヒカリが完成!

水田オーナーズクラブ
運営:農業法人 株式会社あっぷふぁーむ 
本社 鳥取県日南町福万来843 TEL0859-82-1200
ホームページ:https://suiden.jp/

※取材:2013年5月、2013年9月