大自然の国カナダ
Scenes of Canada
カナディアン・ソーラーのふるさとカナダの、豊かな自然や野生動物、素朴なライフスタイルなどをご紹介します。
カナダのくらし Canadian Life | レジェンドスキーヤー一家が住む森の中の省エネハウス
ブリティッシュ・コロンビア州ウィスラー ザックスさんご一家
人気スキーリゾートのウィスラーに住む有名スキーヤーのファミリー。最新の高気密住宅で快適に、自然を楽しみながら暮らす彼らのアクティブなライフスタイルをご紹介します。
ウィスラースキー場のふもとに建つ、4階建ての邸宅
シェーン・ザックスさんは、1990年代にカナダで起こった「フリースタイルスキー」のムーブメントをけん引した一人。もともとモーグルの選手だった彼は、競技のワクを超え、大胆なジャンプや反転など、雪原をより自由に楽しむスキーを体現し、数々のスキームービーでも活躍しました。
スキーヤーにとってレジェンド的存在の彼が暮らすのは、北米最大級のスキー場があるブリティッシュ・コロンビア州のウィスラー。スキー場の麓、木々に囲まれた4階建ての大きな家に、奥様のアマンダさんと3人のお子さんと生活しています。
「ここには昨年の夏に引っ越したばかり。ずっとウィスラーに住んでいたんですが、前の家はちょっと古くなり、子供たちも成長して使いづらくなってしまった。それで、モダンスタイルのこの家に住み替えました。前のオーナーは、うちと同じように3人の子供がいる5人家族。ベッドルームも4つあって広さも十分と、我が家にピッタリでした」とシェーンさん。
真冬のカナダでも快適なエナジーエフィシェント・ホーム
〝モダンスタイル〞というこの家は、デザインはもちろん技術的にも最新型で、カナダ政府が推奨している「エナジーエフィシェント・ホーム」(エネルギー高効率住宅)といわれる省エネスタイルの建物です。
基本構造は丈夫な鉄筋で、厚い壁の中には海藻を原料とした高性能な断熱材がギッシリと詰め込まれています。また窓には断熱効果抜群の3重ガラスを採用、ドアには隙間を作らないウエザーストリッピング(戸あたり)を設置するなど、徹底した高気密仕様。マイナス20℃を下回ることも珍しくないウィスラーにありながら、ガスで温めたお湯を循環させる床暖房を作動させるだけで、家の中は半袖で暮らせるほどの暖かさが保てます。しかもHRV(熱交型換気システム)が設置されているため、温度を下げずに空気の循環が可能で、結露などの心配もありません。
暖かな家で快適に生活し、いい雪が降ったら気軽に出かけて世界レベルのゲレンデでスキーを満喫…。そんな日々がごく普通のザックス家。何とも贅沢なカナディアンライフです。
森があり小川が流れる、家に求めたのはこの環境
ザックスさんファミリーが家に求めるのは、最新式の快適な住み心地だけではありません。その立地、自然との近さは何よりも大切なことと言います。
「家を選ぶとき一番の決め手となったのは、後ろに古くて大きな杉の森が広がっていたことです。そしてそこに川が流れているのも気に入りました。夏、川のせせらぎを聞きながら過ごすのは、とてもすてきです」とアマンダさん。
大きな暖炉と、吹き抜けの高い天井のあるリビングルーム、手作りのテーブルがあるダイニングルームは、家族みんなが集まる場所。床から天井まで続く大きな窓からは、四季折々の森の風景が飛び込んできます。
「裏庭にはよく、野生の動物もやってきます。たとえばオオヤマネコ、クーガー、ブラックベアも珍しくありません。リビングルームから家族でそんな自然の様子を見られるのも、この家のいいところですね」
カナダならではの大自然と密着したライフスタイル
美しい森や山に囲まれたウィスラーでは、生活そのものが自然と密着しています。そんな環境にインスパイアされてか、シェーンさんを含め家族全員がアウトドア派。冬のスキーはもちろん、夏も周辺に無数に伸びるトレイルでハイキングやマウンテンバイクを、そして点在する湖や川でカヌーやカヤックを楽しんでいます。
家族旅行にもしばしばでかけますが、旅のスタイルもとてもアクティブ。ハワイでサーフィンをしたり、他のスキー場に滑りに行ったり。この冬にはアマンダさんが、スイスで行われる50㎞のクロスカントリーレースに参加するのだとか。また来年には家族全員で日本のパウダースキーを楽しみに来る予定といいます。
「ここでは毎日が自然の中にあり、子供たちもアウトドアで遊びながら成長してきました。日常も、旅のような非日常も、自然と共にあるのが私たちのライフスタイル。それを気に入っているし、とてもラッキーだと思っています」
レジェンドスキーヤー一家が育んだ、大自然と隣り合わせた生活。彼らが住むのは、自然資源を無駄にせず、しかも快適に暮らせる森の中のエナジーエフィシェント・ホーム。この家には、このファミリーが日々享受している自然を守り、次の世代に、そしておそらく次の次の世代にも残していきたい、そんなご夫妻の想いが込められているように感じられました。
※取材:2017年1月
撮影:千安英彦 取材:Chieko