Canadian Style 太陽とともに - カナディアン・ソーラーのウェブマガジン

Scenes of Canada

カナディアン・ソーラーのふるさとカナダの、豊かな自然や野生動物、素朴なライフスタイルなどをご紹介します。

カナダの野生動物 | カナダ建国史にもかかわった、環境保護のシンボル的存在 ビーバー

様々な野生動物が生息するカナダでも、特別な存在と言えるのがビーバーです。16世紀以降のヨーロッパ人によるカナダ開拓、その最大の目的となったのがビーバーの毛皮であり、この動物がいなければ今のカナダはなかったかもしれません。

当時ヨーロッパでは、北米産ビーバーの柔らかい毛皮を使ったフェルト帽が大流行していました。毛皮の取引は、イギリスやフランスなどの国に莫大な富をもたらす大きなビジネスだったようです。貿易商たちは、ビーバーを捕獲できるカナダ先住民からより多くの毛皮を買い付けるため、カヌーで川をさかのぼって内陸部へと進み、各地に交易所を設けていきました。こうして水際に開かれた交易所の多くが現在のカナダの街となったのです。

ビーバーの柔らかい内毛から作られたフェルト帽
ビーバーが描かれたカナダの5セント硬貨

しかし、そうした発展は大きな環境問題もはらんでいました。かつては北米全土に1億頭以上いたとされるビーバーですが、帽子製作のために乱獲が進むと激減。多くのエリアで絶滅状態になってしまいました。

20世紀に入り、自然保護運動が盛んになると、ビーバーはその象徴的存在となります。各地で保護活動が行われるようになると、カナダ国立公園のシンボルマークにはビーバーが採用され、5セントコインにも「国獣」としてその姿が描かれました。

現在、ビーバーの数は北米全土で約1000万頭以上まで復活したと言われており、実際、カナディアン・ロッキーや東部の湖沼地帯などいたるところで、その愛らしい姿に出会うことができるようになりました。

倒した木や枝、泥などで川をせき止め、そのダム湖の中に枝や泥を積み上げてビーバーロッジ(巣)を作り上げます。内部は乾燥した優れた構造で、ここで冬を越し、子育てもします
倒した木や枝、泥などで川をせき止め、そのダム湖の中に枝や泥を積み上げてビーバーロッジ(巣)を作り上げます。内部は乾燥した優れた構造で、ここで冬を越し、子育てもします
体重は平均20kgと、げっ歯類としてはかなり大型。平たい尻尾をオールのように使って泳ぎます
体重は平均20kgと、げっ歯類としてはかなり大型。平たい尻尾をオールのように使って泳ぎます
大きく強力な歯をもち、時にはこんな太い木もかじり倒してしまいます
大きく強力な歯をもち、時にはこんな太い木もかじり倒してしまいます

Photo: OTMPC, Satoru Seki, 123RF