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Scenes of Canada

カナディアン・ソーラーのふるさとカナダの、豊かな自然や野生動物、素朴なライフスタイルなどをご紹介します。

カナダの野生動物 | 巨体に立派な角をつけ、時には湖の湖底までダイビング ムース(ヘラジカ)

やや間延びしたような長い顔の上に、大きなヒイラギのような平たい角を載せて森の中をゆうゆうと歩くムース。オスでは平均体重600kg、大きなものでは800kgにもなり、シカ科の仲間では最大の動物です。このムースはロッキー山脈やオンタリオ州の北部などを中心に、カナダ全土に50万~ 100万頭が生息。寒さに強く北部のツンドラ地帯にまでそのエリアは広がっています。

カヌートリップやフィッシングの最中に偶然遭遇することも
カヌートリップやフィッシングの最中に偶然遭遇することも
若い雄。角は冬に向けて大きく広がっていく
若い雄。角は冬に向けて大きく広がっていく

大きな角はオスだけが持ちます。他のシカと同様、角は毎年生え代わり、春に生えたものがどんどん大きくなってほんの3ヶ月程度で1.5メートルくらいの大きさにまで広がります。成長中の角は、フェルトのような外皮に覆われています。内部に巡る無数の血管が栄養を届け、1日に1㎝ほど伸びることも。夏の終わりころになるとこの血流が止まり、角は徐々に固くなります。秋、オスたちはメスを獲得するため、この角を武器に他のオスと戦います。そして冬になると1年かけて大きくした角はポロリと剥落。とてもユニークなサイクルです。

ムースはその大きな体に似合わず草食で、木の枝などが好物です。夏には体を冷やすためしばしば湖などの水の中で過ごしていますが、時には5メートルもダイブして湖底の草を食べることも。20キロ近くを泳ぎきることもできるパワフルなスイマーでもあり、子供のムースも生まれた直後から母親について泳ぐことができます。運がよければ、仔ムースがお母さんの背中に鼻を乗せ、助けを借りながら水辺を渡る、そんなかわいらしい姿に出会えることもあります。

子育て中の母ムース。微笑ましい光景だが、近づくとかなり危険
子育て中の母ムース。微笑ましい光景だが、近づくとかなり危険
とくに早朝や夕方、森の中の水辺でしばしばその姿が見られる
とくに早朝や夕方、森の中の水辺でしばしばその姿が見られる

Photo: OTMPC, Shutterstock