大自然の国カナダ
Scenes of Canada
カナディアン・ソーラーのふるさとカナダの、豊かな自然や野生動物、素朴なライフスタイルなどをご紹介します。
陽だまりInterview | 「イタリア伝統の技術をカナダで。自然の甘みを引き出したワインを味わっていただきたい」
フォーリン・アフェア・ワイナリー
カナダきってのワイン産地として知られるオンタリオ州ナイアガラ地方。ここには、大量生産はせず、手作り感覚のナチュラルなワインを造る小規模ワイナリーが数多く集まっています。
そのひとつが「フォーリン・アフェア・ワイナリー (Foreign Affair Winery)」。ひときわ手間がかかるイタリア式アマロネスタイルを採用して造り上げる独自のワイン。そのこだわりをうかがいました。
ブドウ本来が持つ甘みを生かし、手間ひまかけてできるワイン
― ワイナリーを始めたきっかけを教えてください。
レン・クリスピーノ(以下、L)以前、外交官としてオンタリオ州の食材などをイタリアへ向けて輸出促進する仕事をしていました。もともとワインが好きだったこともありますが、1990年代前半には現地にも駐在しており、そこでイタリアワインの魅力に出会ったのがきっかけですね。「フォーリン・アフェア」というワイナリーの名前も、私がカナダとイタリアの外交(Foreign Affairs)に携わっていたことと、ワインに惚れ込んだ(Falling Love)ことにかけたネーミングです。
― なるほど。イタリアのワインのどこに惚れ込んだのですか。
Lイタリアでは、ワイン造りは各地で古くから盛んに行われてきました。私もあちこちのワインを研究しましたが、なかでも知るほどに興味深いと思ったのが、北東部ヴェローナを中心とした狭いエリアで造っている「アマロネ」というタイプです。これは、陰干しブドウを使うため、通常の工程よりも手間と時間がかかりますが、その分、味に自然な甘みと独特の深みが生み出されるのが特徴です。大変貴重なワインです。
― その伝統的な製法をカナダで実現されたのですね
Lはい、そのおいしさを自分でも造ってみたくなって。イタリア以外ではこの製法は「アパッシメント」と呼ばれるのですが、実際の造り方としては、一房ずつ、手で摘んだブドウを一定期間陰干して、本来持つ甘みをさらに凝縮させます。そこから絞った果汁を使って発酵させることで、味わい深いワインが出来上がるのです。どのくらい干すかは、ブドウの種類によって、またその年の天気や気温、湿度などによって、その都度見極めなければならない。職人の経験と腕が試されます。
― とても奥が深そうですね。ワインメーカー(製造責任者)はどういう方が?
Lナイアガラのブロック大学でワイン醸造を研究していた人物です。彼は、オンタリオ州とニュージーランドでもワイン造りの経験を積みました。彼と一緒に、私たち夫婦や兄弟で、2001年に最初のブドウを植え、2007年にワイナリーをオープンしました。ワインメーカーとともにワインに対するパッションを深く共有し、試行錯誤を繰り返しながら、最高の品質を目指しています。小規模で、少ない人数だからこそできるこだわりだと思います。
― 「こだわり」とは、具体的には?
Lイタリアのアマロネワインは、赤ブドウが一般的ですが、ここでは白ブドウにも挑戦しています。また、ブドウの房で肩のようになっているところは太陽がいちばんよく当たるので、一番甘く育つ場所でもあります。その部分の実を使ってアパッシメント製法で造るワイン「レチョット・スタイル」にもまた、力を入れています。より美味なワインを造りたくて、様々な手法にチャレンジしているんです。私たちが造ったどのワインも、甘み、香りなどが複雑に絡みあい、味わい深く仕上がっている、その自信があります。
― なんだか今すぐ飲んでみたくなりますね。ナイアガラという場所を選んだ理由もお聞かせください。
Lまず、土壌がワインブドウの栽培に最適だったからです。さらに、このエリアの特徴的な地形として「ナイアガラ・エスカープメント」という丘陵地帯があります。オンタリオ湖から吹く風が湖畔に広がる平地を流れ、この丘陵地の斜面によって跳ね返されて循環することで、夏は涼しく冬も冷え過ぎない気候をもたらします。また、その斜面はゆるやかなスロープとなっているので、ブドウにまんべんなく太陽の光があたり、日照時間もしっかり確保することができます。ワイン造りに理想的条件が揃っていたんです。
― 最後に今後の思いなど、教えていただけますか。
Lイタリアワインの古き良き伝統を、カナダのナイアガラという新しい土地であらたな可能性とともに進化させていければと思っています。よりおいしさに磨きをかけて、その味を世界に向けて伝えたいですね。日本の方にもぜひ、私たちのワイナリーに来ていただきたいです。飲んでおいしさを感じていただくことが、いちばん嬉しいですから。
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※フォーリン・アフェア・ワイナリーの一部のワインは、日本でも購入が可能です。お問合せ:ヘブンリー・バインズ
Photo: OTMPC