2025.12.02
2025年第3四半期の業績発表
Canadian Solar Inc.(本社:カナダ・オンタリオ州キッチェナー、NASDAQ:CSIQ、以下「カナディアン・ソーラー」)は、2025年第3四半期(2025年7月1日~9月30日)の業績を発表しました。
2025年第3四半期のハイライト
- 売上高は15億ドルで、目標レンジ(13~15億ドル)の上限を達成。
- 売上総利益率は17.2%で、目標レンジ(14~16%)を達成。
- e-STORAGEの蓄電池エネルギー貯蔵システム出荷量は、四半期としては過去最高となる2.7GWhで、目標レンジ(2.1〜2.3GWh)を達成。
- 2025年10月31日時点のe-STORAGEのバックログ(受注残)の契約総額は31億ドル。
- 米国インディアナ州の太陽電池セル工場のフェーズIは、2026年3月に生産開始予定。
- 米国ケンタッキー州のリチウムイオン電池工場のフェーズIは、2026年12月に生産開始予定。
2025年第3四半期の業績
2025年第3四半期に売上高として計上されたモジュール総出荷量は、前四半期比35%減、前年同期比39%減の5.1GWでした。この出荷量には、自社の大規模太陽光発電プロジェクト向けに出荷した33MWを含みます。
2025年第3四半期の売上高は、前四半期比12%減、前年同期比1%減の15億ドルでした。これは主に、太陽電池モジュールの売上の減少によるもので、この一部は蓄電池エネルギー貯蔵システム(BESS)の売上の増加により相殺されました。
売上総利益は2.56億ドルでした(2025年第2四半期:5.05億ドル、前年同期:2.47億ドル)。売上総利益率は17.2%でした(2025年第2四半期:29.8%、前年同期:16.4%)。売上総利益率が前四半期比で減少した主な要因は、第2四半期には米国プロジェクトの販売形態リースに伴う利益の計上がなかったことです。売上総利益率が前年同期比で上昇した要因は、蓄電池エネルギー貯蔵システム(BESS)による利益率の寄与拡大で、総合的に見て、BESSは太陽電池モジュールよりも利益率により大きく貢献している状況となっています。
営業費用は、2.22億ドルでした(2025年第2四半期:3.78億ドル、前年同期:2.47億ドル)。営業費用が減少した要因は、継続的なコスト削減と、一部の太陽光発電資産および蓄電池資産、ならびに製造資産に関連する減損費用がなかったことです。営業費用は売上高の14.9%を占めました(2025年第2四半期:22.3%、前年同期:16.4%)。
2025年第3四半期の米国一般会計原則(GAAP)に基づくカナディアン・ソーラーに帰属する純利益は900万ドル、希薄化後1株あたり損失は0.07ドルでした(2025年第2四半期:純利益700万ドル、希薄化後1株あたり損失0.08ドル。前年同期:純損失1,400万ドル、希薄化後1株あたり損失0.31ドル)。希薄化後1株当たり損失には、該当する場合、転換社債およびリカレント社(Recurrent Energy)の償還可能優先株式の配当による希薄化効果が含まれています。
2025年第3四半期のカナディアン・ソーラーに帰属する調整後純損失(Non-GAAP)は2,600万ドル、調整後1株あたり損失(希薄化後)は0.58ドルでした(2025年第2四半期:調整後純損失2,300万ドル、調整後1株あたり損失(希薄化後)0.53ドル。前年同期:純損失1,400万ドル、1株あたり損失0.31ドル)。2025年第2四半期および第3四半期のカナディアン・ソーラーに帰属する調整後純損失および調整後1株あたり損失(希薄化後)は、簿価仮想清算(HLBV)手法を使用した利益の認識を除外しています。当社は、利益と損失を、税制優遇を目的とした投資家に帰属させる方法としてHLBV手法を使用しています。HLBVの定義についてはリカレント社の項を、最も近いGAAP指標との調整については「Non-GAAP指標について」をご参照ください。
2025年第3四半期に営業活動を通じて流出したキャッシュは1.12億ドルでした。運転資金の変動、特に棚卸資産の減少が寄与しました(2025第2四半期:営業活動を通じて獲得したキャッシュ:1.89億ドル、前年同期:営業活動を通じて流出したキャッシュ2.31億ドル)。
2025年9月30日時点の負債総額(融資負債を含む)は64億ドルで、内訳はCSIソーラーが27億ドル、リカレント社が35億ドル、転換社債が2億ドルでした。負債総額が2025年6月30日時点の63億ドルから増加した主な要因は、プロジェクト開発および運用資産のための新規借入です。2025年9月30日時点のノンリコースローン(非遡及型)の総額は20億ドルでした。
事業部門
当社には、CSIソーラーとリカレント社、2つの事業部門があり、その業績報告を行っています。CSIソーラーは太陽電池モジュールおよび蓄電池の製造と製品に特化しており、リカレント社は、大規模太陽光発電プロジェクトおよび蓄電池プロジェクトの開発と運営を行っています。
リカレント社
リカレント社は、2025年9月30日時点で世界に合計約25GWpの太陽光発電プロジェクト開発パイプラインと81GWhの蓄電池プロジェクト開発パイプラインを保有する、業界トップレベルの企業です。
リカレント社のビジネスモデルは次の主要3分野から構成されています。
- 運用ポートフォリオからの売電収入:通貨相場が安定している成長市場で安定した多様なキャッシュフローを確保しつつ、キャッシュフローや負債の水準を管理するために、一部のプロジェクト所有権を売却します。
- 資産の売却(太陽光発電および蓄電池):世界のその他の地域において、プロジェクト売却から得られる資産売却益として現金効率の高い資金を受けた成長モデルを推進することで、通貨相場が安定している市場で運用資産を成長させるための資金を確保します。
- 電力サービス(O&M):長期O&M契約(現在、契約締結済みのプロジェクト:14GW超)を通じて、安定的かつ長期的な経常収益の拡大とプロジェクト開発プラットフォームとの相乗効果を生み出します。
太陽光発電プロジェクト開発パイプライン
当社の太陽光発電プロジェクト開発パイプラインは、2025年9月30日時点で、建設中が2.0GWp、バックログが3.4GWp、初期~中期開発段階のプロジェクトが19.7GWpで、合計25.1GWpでした。プロジェクト・パイプラインの分類は次の通りです。
- バックログ・プロジェクト:投資リスク期間(状況の急変が起こる可能性がある期間)を過ぎた、今後1~4年間に着工予定の後期段階のプロジェクトです。プロジェクトの投資リスク期日はプロジェクトが建設される国によって異なりますが、プロジェクトが高リスクの開発段階を終えた日と定義されています。通常は、プロジェクトが必要な環境・規制上のすべての許認可を取得済みで、接続契約およびオフテイク契約(FITの確保、電力購入契約(PPA))の締結が完了した後の時点となります。バックログ・プロジェクトの大部分は契約済み(PPAまたはFITの契約を締結済み)で、残りはPPAを締結する可能性がかなり高い状況にあります
- 中期段階のパイプライン・プロジェクト:接続契約を締結済み、あるいは締結する可能性が90%超の中期段階のプロジェクトです。
- 初期段階のパイプライン・プロジェクト:当社が管理する、接続契約の締結手続き中の初期段階のプロジェクトです。
当社のプロジェクト開発パイプラインの規模は、発電容量と蓄電池容量の拡大の可能性、および将来の収益成長の可能性を示す重要な指標ですが、パイプライン・プロジェクトの開発は本質的に不確実です。パイプライン・プロジェクトが適時に完了しなかった場合、期待した効果が期待された範囲で実現できず、当社の事業、財政状況や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社の将来の業績および決算に関するガイダンス(目標レンジ)および予測は、パイプラインにある一部の太陽光発電プロジェクトおよび蓄電池プロジェクトの完成を前提としています。実行可能なパイプラインを実行できない場合、ガイダンス(目標レンジ)を下回る可能性があり、普通株式の市場価格、事業、財務状況または業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
HLBV手法
当社は、米国の太陽光発電プロジェクトおよび蓄電池プロジェクトにおける、税制優遇を目的とした投資家(タックス・エクイティ投資家)との契約上の提携関係の会計処理を行うにあたり、簿価仮想清算(HLBV)手法を適用しています。HLBV手法は、償還可能な非支配持分に帰属する損益を配分するものであり、子会社とタックス・エクイティ投資家との間の出資や分配といった資本取引を考慮した上で、各報告期間の期首および期末に清算が行われたと仮定した場合に、タックス・エクイティ投資家が受け取ると想定される金額の変動を反映しています。
下表は、2025年9月30日時点の当社の太陽光発電プロジェクト開発のすべてのパイプラインを示しています。
| 太陽光発電プロジェクト開発パイプライン(2025年9月30日時点)(MWp※) | |||||
| 地域 | 建設中 | バックログ | 中期開発段階 | 初期開発段階 | 合計 |
| 北米 | 276 | 556 | 427 | 4,341 | 5,600 |
| 欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域 | 1,108 | 1,687※※ | 785 | 4,616 | 8,196 |
| 中南米 | 128※※ | 374 | 352 | 5,866 | 6,720 |
| アジア太平洋地域(中国と日本を除く) | 171 | – | 466 | 1,164 | 1,801 |
| 中国 | 300 | 735※※ | – | 1,470 | 2,505 |
| 日本 | 49 | 56 | 80 | 103 | 288 |
| 合計 | 2,032 | 3,408 | 2,110 | 17,560 | 25,110 |
※すべての数字は正味MWp。
※※建設中のプロジェクト63MWpおよび第三者所有または第三者に売却済みのバックログ・プロジェクト483MWpを含む。
蓄電池プロジェクト開発パイプライン
当社の蓄電池プロジェクト開発パイプラインは、2025年9月30日時点で、建設中およびバックログが6.5GWh、初期~中期開発段階のプロジェクトが74.1GWhで、合計80.6GWhでした。
下表は、2025年9月30日時点の当社の蓄電池プロジェクト開発のすべてのパイプラインを示しています。
| 蓄電池プロジェクト開発パイプライン(2025年9月30日時点)(MWh) | |||||
| 地域 | 建設中 | バックログ | 中期開発段階 | 初期開発段階 | 合計 |
| 北米 | 600 | 200 | 600 | 22,932 | 24,332 |
| 欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域 | 43 | 2,590 | 3,829 | 30,590 | 37,052 |
| 中南米 | – | – | 1,320 | 1,825 | 3,145 |
| アジア太平洋地域(中国と日本を除く) | 440 | 240 | 500 | 2,580 | 3,760 |
| 中国 | – | 1,260 | – | 6,500 | 7,760 |
| 日本 | 8 | 1,140 | 1,731 | 1,650 | 4,529 |
| 合計 | 1,091 | 5,430 | 7,980 | 66,077 | 80,578 |
CSIソーラー
太陽電池モジュールおよび太陽光発電システム・キット
CSIソーラーは、2025年第3四半期に5.1GWの太陽電池モジュールおよび太陽光発電システム・キットを60カ国以上に出荷しました。出荷量の上位5カ国は、米国、中国、スペイン、パキスタン、南アフリカでした。
下表は、CSIソーラーの生産能力拡張目標(更新版)を示しています。
| 太陽電池生産能力(GW/年)※ | ||
| 2025年12月 計画 | 2026年12月 計画 | |
| インゴット | 31.0 | 31.0 |
| ウエハー | 37.0 | 33.2 |
| セル | 32.4 | 33.2 |
| モジュール | 51.3 | 55.8 |
※各時点における年間生産能力。生産能力拡張計画は、市況および資本配分計画に応じて予告なく変更する可能性があります。
e-STORAGE:蓄電池ソリューション
2025年10月31日現在、e-STORAGEの長期サービス請負契約を含む契約済みの受注残は31億ドルでした。これらは、お客様に対する契約上の義務を伴う契約締結済みの注文であり、複数年にわたり、重要な収益の見通しを示すものです。
下表は、e-STORAGEの生産能力拡張目標を示しています。
| e-STORAGEの生産能力拡張計画※ | ||
| 2025年12月 計画 | 2026年12月 計画 | |
| SolBank蓄電池ソリューション(GWh/年) | 15 | 24 |
| バッテリーセル(GWh/年) | 3 | 9 |
| ※ BESSおよびバッテリーセルの定格容量は、各時点における年間生産能力(単一シフト、二重シフト)です。生産能力拡張計画は、市況および資本配分計画に応じて予告なく変更する可能性があります。 | ||
業績見通し
当社の業績見通しは、市況、受注量、生産能力、投入資材価格、為替変動、プロジェクト売却の予定時期、世界の経済情勢などの要因を考慮した、経営陣の最新の見解および予測に基づいています。お客様の需要、プロジェクトの建設・売却スケジュール、製品の販売価格・コスト、サプライチェーンの制約や地政学的な紛争などに関する見通しは不確実な要素を含んでいます。経営陣の見解および予測は、予告なく変更される可能性があります。
2025年第4四半期の総売上高は13億~15億ドルの見込みです。売上総利益率は14~16%と予想しています。CSIソーラーの売上高として計上されるモジュール総出荷量は4.6~4.8GWの見込みです。2025年第4四半期のCSIソーラーによる蓄電池総出荷量は2.1~2.3GWh(このうち約600MWhが自社プロジェクト向け)の見込みです。
2026年通期については、CSIソーラーのモジュール総出荷量を25~30GW(このうち約1GWが自社プロジェクト向け)と見込んでいます。CSIソーラーの蓄電池総出荷量は14~17GWhと見込んでいます。
最近の動向
カナディアン・ソーラー
2025年9月11日、カナディアン・ソーラーは、S&P Global Commodity Insightsが発表した初の「2025 Tier 1 Cleantech Companies」リストにおいて、Tier 1 太陽電池モジュールサプライヤーおよびTier 1蓄電池エネルギー貯蔵システム(BESS)サプライヤーに選出されたことを発表しました。このダブル選出により、カナディアン・ソーラーは太陽電池モジュールとエネルギー貯蔵ソリューション、両分野において卓越した実績を誇る世界有数の供給企業として位置付けられています。
CSIソーラー
2025年11月12日、カナディアン・ソーラーは、カナダ・オンタリオ州エドワーズバーグ・カーディナルの411MW/1,560MWhのSkyview 2蓄電池プロジェクト向けに、完全統合型蓄電池ソリューション「SolBank 3.0」および一括請負型のEPC(設計・調達・建設)サービスを提供する契約を締結したことを発表しました。SolBank 3.0ソリューションの出荷は2026年2月から開始、商業運転は2027年第2四半期を予定しています。
2025年11月12日、カナディアン・ソーラーは、ドイツ・ニーダーザクセン州の20.7MW/56MWhDCの蓄電池プロジェクトについて、蓄電池エネルギー貯蔵システム(BESS)供給契約を締結したことを発表しました。この契約には20年間の長期サービス契約(LTSA)も含まれています。
2025年10月21日、カナディアン・ソーラーは、南オーストラリア州において220MWhDCのMannum蓄電池プロジェクトの商業運転を開始したことを発表しました。e-STORAGEが本プロジェクトのEPCを担当します。プロジェクトはEpic Energy社が所有しており、リカレント社(Recurrent Energy)が開発しました。このプロジェクトが運転を開始したことで、当社は大規模蓄電ソリューションの提供実績をさらに強化しました。
2025年10月1日、カナディアン・ソーラーは、カナダ・オンタリオ州におけるElora蓄電池プロジェクトおよびHedley蓄電池プロジェクトについて、Aypa Power社と蓄電池契約および長期サービス契約(LTSA)を締結したことを発表しました。両プロジェクトは合わせて420MW/2,122MWhの新たな蓄電容量をオンタリオ州の電力網に提供します。2026年第1四半期に出荷開始、2027年上半期に商業運転開始予定です。
2025年9月8日、カナディアン・ソーラーは、最新の革新的なウエハー技術と先進的なヘテロ接合(HJT)セル技術を融合させた次世代低炭素(LC)モジュールの発売を発表しました。この新しいLCモジュールは、大規模事業用途および商業・産業(C&I)用途向けに設計されており、最大出力660Wp、モジュール変換効率は最大24.4%です。2025年8月より出荷を開始しています。
2025年9月4日、カナディアン・ソーラーは、次世代のモジュール型バッテリー「FlexBank 1.0」を米国ラスベガスで開催されるRE+で公開したことを発表しました。FlexBank 1.0は、大規模事業用途向けのスケーラブルなエネルギー貯蔵プラットフォームで、最大8.36MWhの蓄電容量を提供します。新システムは、2026年の導入開始を予定しています。
リカレント社
2025年10月21日、カナディアン・ソーラーは、Desert Bloom Storage蓄電所(600MWh)およびPapago Solar太陽光発電所(150MWac)について、建設資金調達および税額控除(タックス・エクイティ)ファイナンスとして8億2,500万ドルを調達したことを発表しました。建設資金はNord/LB、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、CoBankおよびSiemens Financial Servicesが提供し、税額控除ファイナンスはWells Fargoが提供しています。両施設は、リカレント社とアリゾナ・パブリック・サービス(APS)との複数の提携プロジェクトの一部です。いずれも現在建設中で、2026年上半期に運転開始を予定しています。
財務データ表はこちらをご覧ください。
出典:Canadian Solar Inc.

