2021.05.28
2021年第1四半期の業績発表
Canadian Solar Inc.(本社:カナダ・オンタリオ州、CEO:ショーン・クー、NASDAQ:CSIQ、以下「カナディアン・ソーラー」)は、2021年5月20日(木)に、2021年第1四半期(2021年1月1日~3月31日)の業績を発表しました。
ハイライト
- 2021年第1四半期のモジュール出荷量は3.1GW(指標:3.0~3.2GW)。
- 売上高は前年同期比32%増の11億ドル(指標:10億~11億ドル)。
- 売上総利益率は17.9%(指標:16~18%)。
- カナディアン・ソーラーに帰属する純利益は2,300万ドル、希薄化後1株あたりの純利益は0.36ドル。
- 建設中の蓄電プロジェクトの容量は1.2GWh。
- 蓄電プロジェクト開発パイプラインの総容量はほぼ倍増の17GWh。
- 蓄電事業の強化に向けたHabitat Energy社との戦略的パートナーシップの締結と同社への投資。
- 子会社のCSIソーラー社(従前のモジュール・システム・ソリューション(MSS)事業)のカーブアウトIPO(親子関係を維持したまま子会社の株式の一部を市場公開)は順調。
2021年第1四半期の業績
2021年第1四半期におけるモジュール総出荷量は、前年同期比42%増、前四半期比5%増の3,139MWでした。この出荷量には、自社の大規模太陽光発電プロジェクト向けに出荷された267MWを含みます。
2021年第1四半期の売上高は、前年同期比32%増、前四半期比5%増の10.89億ドルでした。売上高が継続して増加した要因は、日本および米国でのプロジェクト販売の増加とモジュール平均販売価格の上昇です。売上高増加分の一部は、売上として計上されたモジュール出荷量の減少分と相殺されました。
2021年第1四半期の売上総利益は、前四半期比38%増、前年同期比13%減の1.95億ドルでした。売上総利益率は17.9%(指標:16~18%、2020年第4四半期:13.6%)でした。売上総利益率が継続して拡大した主な要因は、利益率の高いプロジェクト販売の寄与拡大およびモジュール平均販売価格の上昇です。売上総利益率増加分の一部は、製造コストの増加分と相殺されました。
2021年第1四半期の営業費用は総額1.51億ドル(2020年第4四半期:1.39億ドル)でした。営業費用が継続して増加した主な要因は、輸送費および取扱手数料の増加です。営業費用増加分の一部は、資産減損費用の減少により相殺されました。
2021年第1四半期の非キャッシュの減価償却費は6,200万ドル(2020年第4四半期:5,900万ドル、前年同期:4,500万ドル)でした。
2021年第1四半期の為替差損は700万ドル(2020年第4四半期:400万ドルの為替差益、前年同期:100万ドルの為替差損)でした。為替差損の主な要因は、円安・ドル高です。
2021年第1四半期の法人税費用は1,400万ドル(2020年第4四半期:200万ドルのタックスベネフィット(マイナスの税金費用)、前年同期:2,900万ドルのタックスベネフィット)でした。法人税費用の主な要因は、税率の高い管轄地域からの税引前利益の増加および一部の控除不可能な項目によるものです。
2021年第1四半期のカナディアン・ソーラーに帰属する純利益は2,300万ドル、希薄化後1株あたり利益は0.36ドル(2020年第4四半期:純利益700万ドル、希薄化後1株あたり利益0.11ドル)でした。
2021年第1四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは8,300万ドルのマイナス(2020年第4四半期:1.2億ドルのプラス)でした。営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなった主な要因は、サプライチェーンの上流の混乱による影響を緩和するために、米国や欧州などの主要市場において戦略的に在庫を増やしたことです。
2021年第1四半期の負債総額は22.8億ドル(2020年第4四半期:21.8億ドル)でした。負債総額の増加の主な要因は、太陽光発電プロジェクトのファイナンスに用いるノンリコースローンの増加で、2020年第4四半期の4.34億ドルから2021年第1四半期には5.22億ドルに増加しました。
蓄電のビジネスチャンス
当社は、エネルギー貯蔵のソリューションおよびプロジェクトの開発と供給における先駆的企業の一つです。当社は「太陽光発電+蓄電」および独立形蓄電、両方の蓄電市場の事業機会において戦略的位置にあります。エネルギー貯蔵市場は、技術の向上、蓄電池コストの低下、再生可能エネルギーの普及拡大、化石燃料発電所の閉鎖の加速などによって急速に成長しています。
当社は、モジュール製造と太陽光発電プロジェクト開発の両方でグローバル・リーダーの地位にあり、競争上の優位性を持っています。CSIソーラーおよびグローバル・エネルギー部門では、共に、エネルギー貯蔵事業を戦略的に重視しています。
- グローバル・エネルギー部門の下で、エネルギー貯蔵プロジェクトの開発は現在、主要な太陽光発電開発チーム内で完全に統合されています。本部門において成長している大規模パイプラインを考えると、当社は大規模エネルギー貯蔵プロジェクトを獲得できる位置にあります。
- CSIソーラーの下で、蓄電ソリューション・チームは、大規模、業務用(C&I)および住宅用太陽光発電システムに統合する、バンカブル(融資適格)なエンドツーエンドの蓄電ソリューションを提供することに注力しています。これらのシステムソリューションは、将来の蓄電容量増強サービスを含む長期的なサービス契約で補完します。
グローバル・エネルギー部門のプロジェクト開発チームとCSIソーラーの蓄電ソリューション・チームの間には相乗効果がありますが、両者は独立して活動しており、蓄電のバリューチェーンの異なる部門で事業を展開しています。それぞれのチームのプロジェクト・パイプラインは別々に評価されるべきものです。プロジェクト・パイプラインの詳細な数値については、本業績発表のグローバル・エネルギー部門およびCSIソーラーのセクションをご覧ください。
グローバル・エネルギー部門
当社は、世界最大級かつ最も地理的に多様な大規模太陽光発電およびエネルギー貯蔵プロジェクト開発プラットフォームの1つを保有しており、六大陸で5.7GWp超の太陽光発電所を計画、開発、資金調達、建設した豊富な実績があります。先駆的企業の一つとして、当社は太陽光発電プロジェクトとエネルギー貯蔵プロジェクトの開発においてリーダーシップを発揮しています。現在保有しているプロジェクト・パイプラインは、太陽光発電プロジェクト・パイプラインが約21GWp、エネルギー貯蔵プロジェクト・パイプラインが17GWhです。
太陽光発電プロジェクト・パイプラインの合計
当社のプロジェクト・パイプラインは、2021年3月31日時点で、建設中が1.8GWp、バックログが3.7GWp、初期段階のパイプラインが15.4GWpで、合計20.8GWpでした。バックログには、クリフ・リスク期日(状況の急変が起こる可能性がある期間)を過ぎた、今後1~4年間に建設予定のプロジェクトが含まれます。プロジェクトのクリフ・リスク期日はプロジェクトが建設される国によって異なりますが、プロジェクトが高リスクの開発段階を終えた日と定義されています。通常は、プロジェクトが必要な環境・規制上のすべての許認可を取得済みで、接続契約の締結、FITの確保、電力販売契約(PPA)の締結が完了した後の時点となります。バックログ・プロジェクトの90%超は契約済み(PPAまたはFITの契約を締結済み)で、残りはPPAを締結する可能性がかなり高い状況にあります。
当社のパイプラインには、現在開発中でありながら、まだリスクが除去されていない初期~中期の段階のプロジェクト機会が含まれています。
下表は、2021年3月31日時点の当社の全パイプラインを示しています。
プロジェクト・パイプラインの合計(2021年3月31日時点)(MWp) | ||||
地域 | 建設中 | バックログ | パイプライン | 合計 |
北米 | 443 | 744 | 4,758 | 5,945 |
中南米 | 859* | 2,098* | 3,371 | 6,328 |
欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域 | – | 400* | 3,519 | 3,919 |
日本 | 159 | 150 | 147 | 456 |
日本と中国を除くアジア太平洋地域 | 348 | 191 | 1,667 | 2,206 |
中国(CSIソーラーの事業部分) | – | 80 | 1,900 | 1,980 |
合計 | 1,809 | 3,663 | 15,362 | 20,834 |
当社は、日本において高額なFITが適用されるプロジェクトを相当数保有しています。下表は、日本で開発中および建設中の当社のプロジェクト・バックログの商業運転開始スケジュールです(2021年3月31日時点)。
商業運転開始スケジュール(MWp)
2021年 | 2022年 | 2023年以降 | 合計 |
44 | 190 | 74 | 308 |
蓄電プロジェクト・パイプライン
グローバル・エネルギー部門では、大規模「太陽光発電+エネルギー貯蔵」プロジェクト、および独立形蓄電 プロジェクトの開発を積極的に進めています。当社は、開発中のほぼすべての太陽光発電プロジェクトがエネルギー貯蔵設備を併設できることを確認し、2021年第1四半期中にこれらのプロジェクトにエネルギー貯蔵設備を併設しました。これにより、当社のエネルギー貯蔵パイプラインは、2021年第1四半期にほぼ倍増の約17GWhとなりました。エネルギー貯蔵設備と太陽光発電所を併設し、同じ敷地内で同じ連系点を使用することで、当社は開発中の資産の価値を大幅に高めることを期待しています。
過去数年間に、当社は、コミュニティ・チョイス・アグリゲータ(CCA)、投資家所有の電力事業者、大学、公益事業地区など、様々な電力購入者と複数の新たな蓄電トーリング契約を締結しました。また、稼働中の太陽光発電プロジェクトに蓄電池を後付けするための開発サービス契約も締結しました。こうしたプロジェクトの多くは、以前当社が開発したものです。
下表は2021年3月31日時点のグローバル・エネルギー部門における蓄電プロジェクト開発のバックログおよびパイプラインです。
蓄電プロジェクト開発のバックログおよびパイプライン(2021年3月31日時点)(MWp) | ||||
地域 | 建設中 | バックログ | パイプライン | 合計 |
北米 | 1,201 | 1,100 | 8,405 | 10,706 |
中南米 | – | – | 3,200 | 3,200 |
欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域 | – | – | 1,314 | 1,314 |
日本 | – | – | 5 | 5 |
日本を除くアジア太平洋地域 | – | – | 1,650 | 1,650 |
合計 | 1,201 | 1,100 | 14,574 | 16,875 |
稼働中の太陽光発電所および蓄電プロジェクト
2021年3月31日時点において当社の稼働中の太陽光発電所は計477MWpで、当社への正味再販額の総額は推定約4.2億ドルでした。推定再販額は、当社が現在交渉中の販売価格、あるいは当該市場における同様の資産の取引価格に基づいて算出されています。
当社が北米で保有していた稼働中の蓄電プロジェクトは3MWhでした。
稼働中の太陽光発電所(MWp)
中南米 | 日本 | アジア太平洋地域 (日本と中国を除く) | 中国 | 合計 |
100 | 14 | 61 | 302 | 477 |
業績
下表は、各期間におけるグローバル・エネルギー部門の事業に関する未監査の業績概要を示しています。
グローバル・エネルギー部門の業績※ (単位:1,000ドル、%がついている数値・別途単位が記載されているものを除く) | |||
四半期 | |||
2021年 第1四半期 | 2020年 第4四半期 | 2020年 第1四半期※※ | |
売上高 | 471,062 | 372,617 | 242,550 |
売上原価 | 358,037 | 340,403 | 153,934 |
売上総利益 | 113,025 | 32,214 | 88,616 |
営業経費 | 27,944 | 30,434 | 27,786 |
営業利益 | 85,081 | 1,780 | 60,830 |
売上総利益率 | 24.0% | 8.6% | 36.5% |
営業利益率 | 18.1% | 0.5% | 25.1% |
CSIソーラー部門
CSIソーラーの2021年の生産能力拡張目標を以下に示しています。すべての新設生産能力は、CSIソーラーのHiKuおよびBiHiKu製品ポートフォリオにおける次世代高出力高効率モジュールの生産に充てる計画です。
生産能力(GW/年)
2020年12月31日 | 2021年6月30日 計画 | 2021年12月31日 計画 | |
インゴット | 2.1 | 5.1 | 5.1 |
ウエハー | 6.3 | 10.3 | 10.3 |
セル | 9.6 | 12.9 | 13.3 |
モジュール | 16.1 | 22.2 | 25.7 |
業績
下表は、各期間におけるCSIソーラー部門の事業に関する未監査の業績概要を示しています。
CSIソーラー部門の業績※ (単位:1,000ドル、%がついている数値・別途単位が記載されているものを除く) | |||
四半期 | |||
2021年 第1四半期 | 2020年 第4四半期 | 2020年 第1四半期※ | |
売上高 | 695,152 | 784,588 | 689,747 |
売上原価 | 627,694 | 678,410 | 527,578 |
売上総利益 | 67,458 | 106,178 | 162,169 |
営業経費 | 120,126 | 103,378 | 77,988 |
営業利益(損失) | (52,668) | 2,800 | 84,181 |
売上総利益率 | 9.7% | 13.5% | 23.5% |
営業利益率 | -7.6% | 0.4% | 12.2% |
※※2020年第1四半期の実績値は当期の表示内容に合わせて改訂されています。
下表は、CSIソーラーの売上高の地理的分布を示しています。
CSIソーラーの売上高の地理的分布※(単位:100万ドル、%がついている数値を除く) | ||||||
2021年 第1四半期 | 売上高における 比率(%) | 2020年 第4四半期 | 売上高における 比率(%) | 2020年 第1四半期 | 売上高における 比率(%) | |
アジア | 240 | 39 | 414 | 62 | 174 | 30 |
米州 | 261 | 42 | 149 | 22 | 249 | 43 |
欧州およびその他 | 117 | 19 | 105 | 16 | 160 | 27 |
合計 | 618 | 100 | 668 | 100 | 583 | 100 |
CSIソーラーは、2021年第1四半期に70ヶ国以上に3.1GWのモジュールを出荷しました。出荷量上位5市場は、米国、中国、ブラジル、オーストラリア、日本でした。
蓄電ソリューション
当社は、システムソリューションとエネルギー貯蔵の統合サービスの開発における先駆的企業の一つです。CSIソーラーでは、蓄電ソリューション・チームが、バンカブル(融資適格)で包括的な容量・性能保証を含む、競争力のあるターンキーの統合蓄電ソリューションを提供しています。これらの保証は、将来の蓄電容量増強サービスを含む長期的な運用保守(O&M)契約により補完されており、長期的な安定収入をもたらします。
下表は、CSIソーラーの蓄電システム統合に関する契約済プロジェクトおよび/または建設中のプロジェクト、高い確率で予測されるプロジェクト、およびパイプライン(2021年3月31日時点)を示しています。
契約済み/建設中 プロジェクト | 予測プロジェクト | パイプライン | 合計 | |
蓄電(MWh) | 861 | 1,400 | 4,842 | 7,103 |
契約済/建設中プロジェクトは、今後12~18ヶ月以内に納入される予定です。予測プロジェクトには、今後12ヶ月以内に契約される確率が75%以上のプロジェクトが含まれています。パイプラインには、特定されているものの契約される確率が75%未満のプロジェクトが含まれています。
本文は、2021年5月20日(木)に発表されたカナディアン・ソーラー2021年第1四半期の業績発表プレスリリースの一部を和訳したものです。原文英文は、こちらをご覧ください。