2021.04.22
2020年第4四半期及び2020年通期の業績発表
Canadian Solar Inc.(本社:カナダ・オンタリオ州、CEO:ショーン・クー、NASDAQ:CSIQ、以下「カナディアン・ソーラー」)は、2020年3月18日(木)に、2020年第4四半期(2020年10月1日~12月31日)及び2020年通期の業績を発表しました。
2020年第4四半期のハイライト
- モジュール出荷量は3.0GWで、指標(2.9~3.0GW)の上限を達成。
- 売上高は前四半期比14%増の10.41億ドルで、指標(9.8億~10.15億ドル)を達成。
- 売上総利益率は13.6%で指標(8~10%)を達成。
- カナディアン・ソーラーに帰属する純利益は700万ドル、希薄化後1株あたりの純利益は0.11ドル。
2020年通期のハイライト
- モジュール総出荷量は前年比32%増の11.3GW(指標に合致)。
- 売上高は前年比9%増の35億ドル。
- カナディアン・ソーラーに帰属する純利益は1.47億ドル、希薄化後1株あたりの純利益は2.38ドル。
- 2020年に販売したプロジェクトは1.4GWp、太陽光発電プロジェクト・パイプラインは20GWp。
- 獲得した蓄電池の契約容量は約1GWh。米国市場では2021年に約10%のシェアを獲得する見込み。
- 蓄電プロジェクト・パイプラインの総容量は約9GWh。
- 子会社のCSIソーラー社(従前のモジュール・システム・ソリューション(MSS)事業)のカーブアウトIPO(親子関係を維持したまま子会社の株式の一部を市場公開)は順調。
2020年第4四半期の業績
2020年第4四半期におけるモジュール総出荷量は、前年同期比22%増、前四半期比5%減の2,998MWでした。この出荷量には、自社の大規模太陽光発電プロジェクト向けに出荷された359MWを含みます。
2020年第4四半期の売上高は、前年同期比13%増、前四半期比14%増の10.41億ドルでした。売上高が継続して増加した要因は、米国、メキシコ、日本、カナダ、イタリアでのプロジェクト販売の増加とモジュール平均販売価格の微増です。これらの増加分の一部は、モジュール出荷量の減少分と相殺されました。
2020年第4四半期の売上総利益は、前四半期比21%減の1.41億ドルでした。売上総利益率は13.6%(指標:8~10%、2020年第3四半期:19.5%)でした。売上総利益率低下の主な要因は、以前から予測されていた製造コストの増加です。この一部は、モジュール平均販売価格の上昇と原価の影響をあまり受けないモジュールがより多く販売されたことにより相殺されました。
2020年第4四半期の営業費用は総額1.39億ドル(第3四半期:1.19億ドル)でした。営業費用が継続して増加した主な要因は、輸送費の増加と一部の製造資産に関する減損費用でした。
2020年第4四半期の非キャッシュの減価償却費は5,900万ドル(第3四半期:5,600万ドル、前年同期:4,500万ドル)でした。
2020年第4四半期の為替差益は400万ドル(第3四半期:1,300万ドルの為替差損、前年同期:300万ドルの為替差損)でした。
2020年第4四半期の法人税費用200万ドルのタックスベネフィット(第3四半期:2,100万ドルの税金費用、前年同期:2,500万ドルの税金費用)でした。タックスベネフィット(マイナスの税金費用)の要因は、当社工場における生産能力拡張と工程の効率向上による、税務上の繰越欠損金による税金費用相殺額が予想より多かったことによります。
2020年第4四半期のカナディアン・ソーラーに帰属する純利益は700万ドル、希薄化後1株あたり利益は0.11ドル(第3四半期:純利益900万ドル、希薄化後1株あたり利益0.15ドル)でした。
2020年第4四半期の営業活動を通じて獲得したキャッシュは1.2億ドルでした(第3四半期:4,700万ドルの獲得)。
新組織
2020年7月、当社は中国においてモジュール・システム・ソリューション(MSS)事業子会社であるCSIソーラー社を当社本体から分離し、新規株式公開(カーブアウトIPO)により株式上場させる計画を発表しました。上場に備えて、2020年第4四半期に事業部門の再編を完了しました。下表に当社の従来の報告体制と新たな報告体制の概要を示しています。主な変更点は中国国内のエネルギー部門をCSIソーラー社の事業範囲に移したことです。
2020年12月31日時点で、CSIソーラー株式の80%を当社が所有し、残りの20%はIPO前の取引期間にCSIソーラー株式を購入した戦略的投資家が所有しています。CSIソーラー株式の5%追加発行分は、CSIソーラーの従業員持ち株制度(「ESOP」)が購入しました。ESOPのベスティング条件はIPOが成功裏に完了することです。CSIソーラーとグローバル・エネルギー部門はいずれも、当社の業績に完全に連結されています。
従来の報告体制 | 新たな報告体制 |
モジュール・システム・ソリューション(MSS)事業 ・太陽電池モジュール ・太陽光発電システム・キット ・その他の材料、部材、サービス (EPCを含む) エネルギー・ビジネス部門 ・太陽光発電プロジェクト(中国国内のエネルギー部門を含む) ・運用・保守(O&M) ・売電収益(中国国内のエネルギー部門を含む) ・その他の開発サービス | CSIソーラー(中国で上場を計画) ・太陽電池モジュール ・太陽光発電システム・キット ・蓄電ソリューション(新規) ・中国国内のエネルギー部門(太陽光発電プロジェクト、EPCサービス、売電収益)(旧エネルギー・ビジネス部門) ・その他の材料、部材、サービス(EPCを含む) グローバル・エネルギー部門 ・太陽光発電+蓄電プロジェクト(全世界(中国を除く)) ・O&Mおよびアセットマネジメント・サービス ・その他の開発サービス(全世界(中国を除く)の売電収益を含む) |
蓄電のビジネスチャンス
本四半期より、当社はエネルギー貯蔵事業の売上を報告します。当社は、エネルギー貯蔵のソリューションおよびプロジェクトの開発と供給における先駆的企業の一つです。急速な技術の向上、蓄電池コストの低下、再生可能エネルギーの普及拡大、化石燃料発電所の閉鎖の加速によって市場機会が飛躍的に拡大している状況を鑑み、当社は「太陽光発電+蓄電」および独立形蓄電、両方の蓄電市場の事業機会において戦略的位置にあります。
当社は、モジュール製造と太陽光発電プロジェクト開発の両方でグローバル・リーダーとしての地位にあり大規模エネルギー貯蔵の市場機会を活用する上で独自の強みを持っています。そのため、CSIソーラーおよびグローバル・エネルギー部門では、共に、エネルギー貯蔵事業を戦略的に重視しています。
- CSIソーラーの下で、蓄電ソリューション・チームは、大規模、業務用(C&I)および住宅用太陽光発電システムに統合する、バンカブル(融資適格)なエンドツーエンドの蓄電ソリューションを提供することに注力しています。これらのシステムソリューションは、将来の蓄電容量増強サービスを含む長期的なサービス契約で補完します。
- グローバル・エネルギー部門の下で、エネルギー貯蔵プロジェクトの開発は現在、主要な太陽光発電開発チーム内で完全に統合されています。本部門において成長している大規模パイプラインを考えると、当社は太陽光発電併設および独立形の大規模エネルギー貯蔵プロジェクトを獲得するにあたって独自の位置にあります。
CSI ソーラー部門
下表は太陽電池モジュールのバリューチェーンに沿った当社の2021年の生産能力拡張目標を示しています。すべての新設生産能力は、当社のHiKuおよびBiHiKu製品ポートフォリオにおける次世代高出力高効率モジュールの生産に充てる計画です。
生産能力(GW/年)
2020年12月31日 実績 | 2021年6月30日 計画 | 2021年12月31日 計画 | |
インゴット | 2.1 | 5.1 | 10.0 |
ウエハー | 6.3 | 11.3 | 11.3 |
セル | 9.6 | 13.4 | 18.2 |
モジュール | 16.1 | 23.2 | 25.7 |
業績
下表は、各期間における当社CSIソーラー部門の事業に関する未監査の業績概要を示しています。
CSIソーラー部門の業績※ (単位:1,000ドル、%がついている数値・別途単位が記載されているものを除く) | |||||
四半期 | 通期 | ||||
2020年 第4四半期 | 2020年 第3四半期 | 2019年 第4四半期 | 2020年 | 2019年 | |
売上高 | 784,588 | 921,529 | 772,140 | 3,105,044 | 2,591,154 |
売上原価 | 678,410 | 738,352 | 574,687 | 2,496,153 | 1,977,502 |
売上総利益 | 106,178 | 183,177 | 197,453 | 608,891 | 613,652 |
営業経費 | 103,378 | 94,936 | 90,742 | 355,786 | 346,010 |
営業利益 | 2,800 | 88,241 | 106,711 | 253,105 | 267,642 |
売上総利益率 | 13.5% | 19.9% | 25.6% | 19.6% | 23.7% |
営業利益率 | 0.4% | 9.6% | 13.8% | 8.2% | 10.3% |
下表は、CSIソーラーの売上高の地理的分布を示しています。
CSIソーラーの売上高の地理的分布※(単位:100万ドル、%がついている数値を除く) | ||||
2020年 第4四半期 | 売上高における 比率(%) | 2020年 通年 | 売上高における 比率(%) | |
アジア | 414 | 62 | 1,295 | 47 |
米州 | 149 | 22 | 860 | 31 |
欧州およびその他 | 105 | 16 | 595 | 22 |
合計 | 668 | 100 | 2,750 | 100 |
当社は、2020年第4四半期に70ヶ国以上に3GWのモジュールを出荷しました。出荷量上位5市場は、ベトナム、中国、米国、ブラジル、オーストラリアでした。2020年通年の出荷量上位5市場は、米国、ベトナム、中国、ブラジル、日本でした。
蓄電ソリューション
当社は、システムソリューションとエネルギー貯蔵の統合サービスの開発における先駆的企業の一つです。CSIソーラーでは、蓄電ソリューション・チームが、バンカブル(融資適格)で包括的な容量・性能保証を含む、競争力のあるターンキーの統合蓄電ソリューションを提供しています。これらの保証は、将来の蓄電容量増強サービスを含む長期的な運用保守(O&M)契約により補完されており、長期的な安定収入をもたらします。
下表は、CSIソーラーの蓄電システム統合に関する契約済プロジェクトおよび/または建設中のプロジェクト、高い確率で予測されるプロジェクト、およびパイプライン(2021年1月31日時点)を示しています。
契約済み/ 建設中プロジェクト | 予測プロジェクト | パイプライン | 合計 | |
蓄電(MWh) | 861 | 1,400 | 3,646 | 5,907 |
契約済/建設中プロジェクトは、今後12~18ヶ月以内に納入される予定です。予測プロジェクトには、今後12ヶ月以内に契約される確率が75%以上のプロジェクトが含まれています。パイプラインには、特定されているものの契約される確率が75%未満のプロジェクトが含まれています。
太陽光発電プロジェクト・パイプラインの合計
当社のプロジェクト・パイプラインは、2021年1月31日時点で、建設中が1.6GWp、バックログが3.8GWp、初期段階のパイプラインが14.8GWpで、合計20.2GWpでした。バックログには、クリフ・リスク期日(状況の急変が起こる可能性がある期間)を過ぎた、今後1~4年間に建設予定のプロジェクトが含まれます。プロジェクトのクリフ・リスク期日はプロジェクトが建設される国によって異なりますが、プロジェクトが高リスクの開発段階を終えた日と定義されています。通常は、プロジェクトが必要な環境・規制上のすべての許認可を取得済みで、接続契約の締結、FITの確保、電力販売契約(PPA)の締結が完了した後の時点となります。バックログ・プロジェクトの90%超は契約済み(PPAまたはFITの契約を締結済み)で、残りはPPAを締結する可能性がかなり高い状況にあります。
当社のパイプラインには、現在開発中でありながら、まだリスクが除去されていない初期~中期の段階のプロジェクト機会が含まれています。
下表は、2021年1月31日時点の当社の全パイプラインを示しています。
プロジェクト・パイプラインの合計(2021年1月31日時点) (MWp) | ||||
地域 | 建設中 | バックログ | パイプライン | 合計 |
北米 | 328 | 728 | 5,030 | 6,086 |
中南米 | 731* | 2,229* | 3,495 | 6,455 |
欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域 | – | 429* | 2,912 | 3,341 |
日本 | 159 | 121 | 24 | 304 |
日本と中国を除くアジア太平洋地域 | 345 | 191 | 1,810 | 2,346 |
中国(CSIソーラーの事業部分) | – | 125 | 1,500 | 1,625 |
合計 | 1,563 | 3,823 | 14,771 | 20,157 |
当社は、日本において高額なFITが適用されるプロジェクトを相当数保有しています。下表は、日本で開発中および建設中の当社のプロジェクト・バックログの商業運転開始スケジュールです(2021年1月31日時点)。
商業運転開始スケジュール(MWp)
2021年 | 2022年 | 2023年以降 | 合計 |
63 | 167 | 50 | 280 |
稼働中の太陽光発電所
2021年1月31日時点において当社の稼働中の発電所は計493MWpで、当社への正味再販額の総額は推定約6.2億ドルでした。推定再販額は、当社が現在交渉中の販売価格、あるいは当該市場における同様の資産の取引価格に基づいて算出されています。
中南米 | 日本 | アジア太平洋地域 (日本と中国を除く) | 中国 | 合計 |
100 | 75 | 61 | 257 | 493 |
蓄電プロジェクト・パイプラインの合計
グローバル・エネルギー部門では、大規模「太陽光発電+エネルギー貯蔵」プロジェクト、および独立形蓄電プロジェクトの開発を積極的に進めています。昨年、当社は、コミュニティ・チョイス・アグリゲータ(CCA)、投資家所有の電力事業者、大学、公益事業地区など、様々な電力購入者と複数の新たな蓄電トーリング契約を締結しました。また、稼働中の太陽光発電プロジェクトに蓄電池を後付けするための開発サービス契約も締結しました。こうしたプロジェクトの多くは、以前当社が開発したものです。当社は、蓄電システムの一体化に関する独自の総合的な技術と専門知識を持ち、トップクラスのモジュールメーカーかつグローバルなプロジェクト開発事業者として独自の地位を確立しているため、エネルギー貯蔵ソリューション、特に「太陽光発電+蓄電」ソリューションをお客様に提供することができるという独自の地位を確立しています。
下表は、2021年1月31日時点のグローバル・エネルギー部門における蓄電プロジェクト開発のバックログおよびパイプラインです。
稼働中 | 建設中 | バックログ | パイプライン | 合計 | |
蓄電(MWh) | 3 | 913 | 1,388 | 6,467 | 8,771 |
※本文は、2021年3月18日(木)に発表されたカナディアン・ソーラー2020年第4四半期および2020年通期の業績発表プレスリリースの一部を和訳したものです。原文英文は、こちらをご覧ください。